【評伝 平尾誠二 村上晃一著】お亡くなりになられてからも人々から愛され続ける生き方

高校生の頃、
たまたまテレビをつけたら
神戸製鋼が3連覇をかけ、
三洋電機(現在Panasonicワイルドナイツ)と決勝を闘っていました。

写真右上の時計は41分58秒。
ロスタイムのラストプレーの瞬間です。
この姿を見て、『何かが起こる!』と、
多くの方々は感じてたと思います。
放送は、大阪TVでしたので、
明石市に住むボクの家のテレビは電波がギリギリで、
半分モザイクみたいな映像でした。
ファーストジャージは赤色の神戸製鋼ですが、
三洋電機も赤色なので、
その時の神戸製鋼は黒色のセカンドジャージ、三洋電機は白色のジャージ。

あまりに画像が悪いので、『またニュースで見たらええかな。。。』とも思いましたが、
何故かTVから離れませんでした。
そして。。ロスタイムに入る頃、
テレビに釘付けとなりました。
当時、林さんと大八木さんのファンだったのですが、あの映りの悪いTVの中で時折見える平尾誠二さんの眼つきが印象的でした。
神戸製鋼が負ける
「ラグビーは考えながらできるほど、時間に余裕のあるスポーツじゃない」
と、後に語るのはロスタイムの主人公、WTBのイアン・ウィリアムズさん。(以下)

電光計はロスタイムに入って42分を指していた。
ラスト・ワンプレー。
そのワンプレーが歴史に残るプレーですが、
この奇跡のワンプレーが完結するまでに、どれ程の神戸製鋼のメンバーそれぞれ個々の選手たちの戦略があったのか?
ご存知でしょうか?

あのワンプレー、
たまたまではアリマセンでした。
以下、村上晃一さんの著書『評伝平尾誠二』と『スポーツ名勝負物語』の記事を交えて記載させて頂きます。
ロスタイムは、
2分を超えていました。
ボールが止まれば、ノーサイド。
三洋電機の悲願達成です。
この日、神戸製鋼の展開ラグビーは三洋電機に封じ込められていました。
封じ込められていたけれど、
ギリギリまで展開して攻めます。
自陣釘付けの三洋電機でしたが、
毎回危機を脱します。
4点のビハインドを負う神戸製鋼は、
最後の攻撃を仕掛けます。
(⚠️当時のTRYは、1トライは現代の5点ではなく、
1トライ4点なので仮にトライしても同点となり、この試合のトライ差で勝敗が決まりますから、例えトライしても同点で三洋電機の勝ち)
始まりは、綾城さんのラック。
村上晃一さんの
『評伝平尾誠二』では、
ボールを持った綾城さんは、
目の前にスペースがなく、相手に捕まってボールを保持するしかなかった。(評伝平尾誠二より)
三洋電機の激しいタックルを受けながらも、そこで無理をせずにラック(ボールを地面に置いて、ボールを争奪する形)を作ります。
ラックにした事で相手を誘い込めました。
そのラックサイドには
あのラトゥ選手が!
ラトゥ選手ほ、ジャパンでも守護神でした。
ラトゥ選手をここに引き留めておかねば、最後にトライを獲れない。
あの一瞬でそう冷静に判断されたNo.8大西一平選手は、すかさずサイド攻撃。
このサイド攻撃が
あの奇跡のトリガー。
見事にラトゥを巻き込めした。
大西選手の判断は凄いですよね。
仮にラトゥに大西選手がボールを絡まれて、
ボールを出せなければノーサイド。
敢えてタックルの強いラトゥ選手を
ここに誘う。

そしてラトゥ選手を封印。
ラックが形成され、そこから出たボールをSH萩本光威が拾い上げ、右にいたSO藪木宏之に素早いパスを送った。
藪木は中央突破を試みようとして三洋電機のCTB日向野武久につかまったが、倒される寸前に右オープンに展開した。
パスは、飛ばしパス。
右にいたCTB藤崎泰士選手を越えますが、
まさか!
ボールは地面に落下して
バウンドします。
パスミス
このシーンを観た全員そう思ったと思います。
『あぁー!』
やってもた。。
ところが!
隣のCTB平尾誠二の手にすっぽりとおさまった。



続けざま平尾は鋭いステップでノホムリ・タウモエホラウをかわすと、FL飯島均からのタックルを受ける直前、
これ以上ないというタイミングでタッチライン沿いに走り込んできたウィリアムスにパスを送った。
このパスを顔のあたりでキャッチしたウィリアムスは、バックスタンド前を、まさに風のように疾走した。
ハーフウェイラインの手前からだから距離にして約50メートル。
ウィリアムスは追いすがる三洋電機WTBワテソニ・ナモアを振り切ると、ゴールほぼ真下に宝物でも供えるようにグラウンディングした。
16対16の同点
グラウンドに膝をついたまま両手を高々とあげるウィリアムスに、FL杉本慎二と藪木が大声を発しながら駆け寄り、喜びのあまりに押し倒してしまった。
倒れながらもウィリアムスはこぶしを宙に突き上げた。
興奮醒めやらぬうちに神戸製鋼のキッカー細川隆弘が逆転のコンバートを落ち着いて決め、激闘にピリオドが打たれた。
ここで、細川選手のゴールキックですが、
簡単に決められてる様に見えますが、
簡単ではないです!
外したら負けの一瞬です。
が!細川選手って、
ここにめちゃ強いのですね。。
サッと蹴って決めてしまいます。
さすが、『ラグビー ル』(YouTube観てください)

神戸製鋼の歓喜の輪の中心にいたのはウィリアムスだったが、起死回生の逆転劇は彼ひとりの力で引き起こされたものではなかった。
それは黒いジャージに身を包んだフィフティーン全員の勝利への執念が実った瞬間だった。
後半の最後、神戸製鋼は攻め続けていましたが、あの頃では珍しい外国選手を2名含む三洋電機のディフェンスはナカナカ崩せませんでした。
ロスタイムの最後まで
三洋電機最強のトンガ選手、ラトゥとノフォモリを相手に、
神戸製鋼は諦めていませんでした。
そして伝説のトライが生まれました。
そんな平尾誠二さんがお亡くなられて10年、
平尾誠二さんが入院されていた当時、
ボクも入院中でした。
病室で平尾誠二さんの闘病の日々を知りました。
勿論病院は異なりますがある意味、
同じ時期、同じ時間に同じ病院という空間におられるという事はボク自信も励みになりました。
あの後、平尾誠二さんはお亡くなりになられました。
今年、
平尾誠二さんと同い年になりました。
村上晃一さんの『評伝平尾誠二』を読んで、気付けた事が沢山あります。
未だに平尾誠二さんがメッセージを送ってくれるかの様に感じる素晴らしい本です。
(是非ご購読下さいね!)
そこで思います。
何故?
亡くなってから10年も経過するのにこれ程まで我々は魅了されるのか?
オトコマエだからでしょ?
そう思った事もありましたが、勿論それだけではアリマン。
本の前半部分で気づかされます。
平尾誠二さんはシッカリとした哲学を持たれていたからです。
沢山ありますが、
『ベクトルは自分に向ける』
ということ。
自分に矢印を向ける事で、全ての失敗は教訓として残り、他人に向けた途端、あらゆる問題は後悔しか残さなぬ事になる。
真の意味での援軍は、自分自身に矢印を向けている人のもとへしかやって来ないものである。
上記の御言葉は
松本瑠樹さんのお言葉です。
松本さんは生前、平尾誠二さんに95%の影響を与えられたそうです。
ちなみにですが、あのパスミスをワンバンで拾った平尾誠二さんのプレーですが、
ワンバンの練習は常日頃からされていたそうです。
なので、味方の『クソパス(生前の平尾誠二さんの御言葉)』でも、難なく受け止める準備は常日頃から出来ていたそうです。
『クソパス』でも、他人のせいにせず、自分にベクトルを向けると、そこへ援軍がやって来る。
この一瞬は、平尾誠二さんの生き方を表現していますね!
すごい!
村上晃一さん、
素晴らしい著書をありがとうございました!
▪️参考文献
『評伝平尾誠二 』
村上晃一著
講談社
三洋電機のあの名場面⬇️
▪️参考資料
1997年発行『スポーツ名勝負物語』講談社現代新書
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